春に

日記をかく。今まで日記というものを続けられたことがない。元日に買った日記帳は362ページが白紙のまま。10代の頃に何度かブログを開設したこともあるけれど、すぐに存在ごと忘れ去ってしまった。


長い文章をかくことが苦手、というのがある。それは今も変わらない。何かをつづけることも苦手。飽き性。それから自分の感情のことがまるでわからない。いつも私は日記帳に何もかけずにいた。


薄ぼんやりとした膜のようなものに包まれて生きてきた気がする。現実、とか他者、とかそういうものに飛び込もうとしない自閉的な人生だった。


私は29歳で、独り身で、ずいぶん孤独な生活をおくっていて、そして最近ものごころがついた気がする。気のせいなのかもしれないけど、世界の輪郭が少しつかめるようになった気がする。その頼りない手ざわりを記録しておきたいと思った。


私が死んだあとも私の日記が永久に(永久になのか?)インターネットの隙間の隙間に漂うことを思うと、なんかほっとする。